Pピリ将 シュうぇッチな本棚

Pピリ将主宰のシュうぇッチマンの書評・書物購入日誌です。

*[書評]【一般】『文字と組織の世界史 新しい「比較文明史」のスケッチ』

 

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*[書評]【一般】『文字と組織の世界史 新しい「比較文明史」のスケッチ』

 

 今回は、 鈴木董『文字と組織の世界史 新しい「比較文明史」のスケッチ』(2018年8月、山川出版社)を紹介する。

 

文字と組織の世界史:新しい「比較文明史」のスケッチ

文字と組織の世界史:新しい「比較文明史」のスケッチ

 

 

 サミュエル・ハンチントンは、18歳で大学を卒業し、23歳でハーバード大学の教壇に立つほどの天才である。

 そのハンチントンの著書『文明の衝突』(1998年、集英社)は、ポスト冷戦を探っていた90年代末、非常によく読まれた書物であったが、今なお色褪せていないと感じている。チャールズ・テイラーらの多文化間の相互承認は、たしかに理想だろうが、現実はやはり衝突と言わなければならないのだろう。最近の米中貿易摩擦を見ていても、そのような現実が突きつけられる。

 ハンチントンによれば、王族の争い、国民国家の対立、イデオロギーの対立を経て、8つの文明の衝突が起こるわけだが、そうなってくると、従来の捉え方では世界を捉えることはできないということは自明であろう。

 鈴木董『文字と組織の世界史 新しい「比較文明史」のスケッチ』が優れていると思うのは、そのようなポスト冷戦時代、文明の衝突期における世界史、著者の言葉を借りれば、グローバル・ヒストリーを志向している点にある。何よりトインビーやマクニールを越えようとする志の高さに打たれる。

 これまでの世界史は、世界史の姿をしていても、世界史ではない。それぞれの王族や国民国家イデオロギーに染め上げられた一方的で偏った歴史もどきでしかなかった。今日のような文明の衝突期に、それぞれの文明を対照させること(言葉の正しい意味では、同系を比べる「比較」ではなく、異なる系譜を際立たせる「対照」と称すべきだと私は思う)には意味があると強く感じていたので、この本の出現には我が意を得たり、なのである。

 文字には大きく5つの系統があるという。フェニキア系文字・アラム系文字・ブラフミー系文字・漢字派生文字・中南米の文字。私の関心は主として漢字文字圏にあるので、ヒエログリフなどには、それほど詳しくないのだが、しかし、本書はこのような物言いを許してくれそうにない。事実、そのような私にでも読みやすく、わかりやすく、非常に勉強になるからだ。そして、どこかの文字圏にコミットしていれば、何とかなるのが本書のよいところ。たとえば、遊牧民のような”動態”に目を凝らさざるを得ないから、一国主義的なイデオロギー、たとえば中華思想のようなものから、自由になれる。だからこそ、別の文字圏への関心が否応なく必要となってくるわけだ。(『朝日新聞』の書評にもあったが、遊牧民に組織があるのかないのか、そこは問いたいところだ。)

 文字だけでなく、組織に着目したところも、斬新なアイデアで、大いに感心させられた。たとえば、第一次大戦後の日本の敗因は、非常に明快に抉られる。陸軍は「技術的に比較劣位にあった中国軍のみを念頭におき」(300頁)、敗れた。海軍にそれはなかったものの、「大鑑巨砲主義に固執したことにより技術的比較劣位に陥り」、大敗した。

 ここからさらに私なりに敷衍するならば、漢字圏ばかりを意識するから失敗するし、陸上より海上の方が優越しているにもかかわらず、男性中心主義、男根主義だから大敗するという今日の状況までも照らし出されるだろう。

 ハンチントンは、おそらくエズラ・F・ヴォーゲルのいわゆる「ジャパン・アズ・ナンバーワン」に引きずられて、日本文明を描き出したが、鈴木氏は「漢字圏の新興帝国」と名づけており、すこぶる冷静である。これが90年代と10年代の決定的な差異と言えるだろう。恣意的な文明史よりも、文字を媒介とした方が、いくらか実質的な議論ができる気がしたので、本書にそのような説得力があったと解してよいと考えている。

 日本には、漢字とひらがなとカタカナとローマ字が混在する。漢字を今なお用いるのは、チャイナと日本、そして華僑のいる東南アジアぐらいだが、漢字の派生と別の文字圏の文字をも組み合わせるのは、紛れもない日本の独自性だろう。今後の日本は、やはり将棋でいえばオールラウンダー、あらゆる戦法を指しこなさなければやっていけないのではないか。

 外国人労働者をめぐる問題で、日本でもようやく議論が巻き起こりつつあるが、その議論のほとんどが退屈で欠伸が、閉鎖的で反吐が出るようなものばかりであるのには、正直、食傷気味である。私見を述べると、日本にはもう1つか2つぐらい、新しい文字を輸入した方がよいのではないかと思う。そんなことを思ったのも、本書のおかげであるから、よい読書をしたと感謝するよりない。いや、厳密に言えば、粗雑なところも多いと思わなくはないが、一人の人間が書いた「スケッチ」なのだから、そのような非難は酷というもの。ひとまずは視野の広さを求める向きに、一読をおすすめする。もちろん、世界史で大学受験する者や、大学で歴史や人文学を学ぶ者にとって必読文献であることはいうまでもない。

 

 ※巻末にある服装の変遷を眺めるだけでも楽しいので、せめて手に取ってみてほしい。 

 

◎本書の目次

はじめに―新しい「比較文明史」のスケッチ

第1章 「文明」と「文化」、そして「文字」とは

―「文字世界」として「文明」を可視化する

第2章 文明としての「文字」と「組織」の出現

第3章 四大文明の形成①メソポタミアとエジプト

―人類最初の「文字世界」、「楔形文字世界」と「ヒエログリフ世界」

第4章 四大文明の形成②ヒンドゥー世界の拡大、唐朝「支配組織」の比較優位

―「インダス文字梵字世界」と「漢字世界」の発展

第5章 「西欧・東欧の源流」としてのギリシア・ローマ世界

―地中海「ギリシアラテン文字世界」の誕生

第6章 イスラムの出現と「アラブの大征服」

―新たな「アラビア文字世界」の登場

第7章 イスラム世界の「支配組織」と異文化共存システム

―「アラビア文字世界」はなぜ拡大し定着したか

第8章 現代に続く「五大文字世界」の定着から「モンゴルの大征服」の衝撃へ

―新たなイスラム世界の拡大と西欧キリスト教世界の対外進出

第9章 アジアの圧倒的比較優位の時代

―「漢字世界」と「アラビア文字世界」の諸帝国

第10章 「大航海」時代と西欧による異文化世界への進出

―「ラテン文字世界」による「グローバル・ネットワーク」の形成

第11章 「西欧キリスト教世界」内の文化変動

ルネッサンス宗教改革

第12章 西欧世界の「文明」的比較優位の進展

―「軍事革命」と政治単位・支配システムの革新

第13章  「王権神授説」から「国民主権」へ 市民革命と立憲主義

―グローバル・モデルとしての「ネイション・ステイト」

第14章 西欧世界はいかにして圧倒的比較優位を確立したか

―「産業資本主義」とイノヴェーション

第15章 諸「文字世界」は「西洋の衝撃」にどう対応したか

―インド、オスマン帝国、清、日本

第16章 二つの革命と大戦 帝国主義時代と共産主義体制の登場

―「五大文字世界」すべてがかかわる戦争の到来

第17章 「普遍的」イデオロギーから「特殊的」ナショナリズム

「東西冷戦」体制とその終焉

―新たな「歴史の始まり」

第18章 「ネイション・ステイト」と「ナショナリズム」を克服する試み

―「ヨーロッパ統一」の実験とイスラム世界

第19章 よみがえる「巨龍」中国と「巨象」インド、そして日本

―近未来の「世界史」

第20章 「多文化共存」の新たなモデルを求めて 

 あとがき

 

 

 

 

世界の文字―いろいろなアルファベット (ふしぎ?おどろき!文字の本)
 

 

文字の歴史―ヒエログリフから未来の「世界文字」まで

文字の歴史―ヒエログリフから未来の「世界文字」まで

 

  

文字の歴史 (「知の再発見」双書)

文字の歴史 (「知の再発見」双書)

 

  

文字の言語学: 現代文字論入門

文字の言語学: 現代文字論入門

 

 

世界の文字の図典 普及版

世界の文字の図典 普及版

 

    

世界の文字を楽しむ小事典

世界の文字を楽しむ小事典

 

 

図説 世界の文字とことば (ふくろうの本)

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世界の文字事典

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*[書評]【一般】『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』

 

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*[書評]【一般】『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』

 

 今回は、 キャスト・オブ・"マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー"『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー(ザ・ムーヴィー・サウンドトラック)』を紹介する。

 厳密にいうと、書物ではないのだが、ご寛恕ねがう。

 

マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー ザ・ムーヴィー・サウンドトラック

マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー ザ・ムーヴィー・サウンドトラック

 

 

 ミュージカル映画の新境地『MAMMA MIA! Here We Go Again』

 

 

 今夏、私が最もはまった映画が『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』。

 映画館では朝見て、レイトショーでもう一度、見た。

 

 レイトショーはお客さんが少ないから、興奮を分かち合えないが、分析ができる。

 こういう映画の見方が、個人的にお気に入り。

 いつもはこれだけで終わるが、今回は輸入前のものも見たので、完璧である。

 

 脳内スクリーンでは、もう数え切れないくらい上映したことはいうまでもない。

 

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 映画タイトルの原題は、MAMMA MIA! Here We Go Again』。

 

 なぜ、邦題に「Again」が反映されていないのかは、不可解。

 ちなみに、ABBAの名曲「MAMMA MIA!」の歌詞は「We」ではなく「I」。

 「I」が「We」になり、「Again」が付くところが、この映画の要の部分。

 

 今作は、前作『マンマ・ミーア!』のいわば、続編。

 前作の数年後である娘ソフィの現在と、母ドナの過去が交互に描かれる。

 

 前作もすばらしかったが、私の評価は今作のほうが上。

 理由は、3つ。

 

 1つは、若いころのドナを演じたリリー・ジェイムズがすばらしいから。

 美人だし、歌唱力、演技力、ともにズバ抜けている。

 前作、すなわちメリル・ストリープを踏襲したり、裏切ったり。

 もう私は彼女に首ったけである。

 

 もう1つは、大胆な換骨奪胎。

 前作のキャサリン・ジョンソンも悪くはなかった。

 しかし、今作のオル・パーカーには脱帽だ。

 脚本にしても、監督にしても、非常にいい仕事をしている。

 

 とりわけ構成が秀でているだろう。

 いや、もちろん、厳密にいえば、デタラメだ。

 真面目な方には、起承転結は成っていないとお叱りを受けるかもしれない。

 しかし、そこはミュージカル映画

 片目をつぶったほうがいい。

 事実、それを補って余りある勢いがあると私は思う。

 

 "When I kiss the teacher"のシーンがお気に入り。

 純粋に音楽だけにフォーカスすれば、他にもあるが、シーンとしてはこれ。

 もし学校祭をやろうとしている若者がいたら、これを見ておいたほうがいい。

 

 このシーンが最初に来ることで、全体がくっきりした。

 ドナのキャラクターはもちろん、映画自体のキャラクターもピタッと定まる。

 

 最後の1つも、このことと関わっている。

 すなわち、この映画に通底するフェミニズムと反骨精神だ。

 少なくとも私は、ここで提示される思想には、全面的に賛意を表す。

 絶賛と捉えていただいて構わない。

 

 ラディカル、リベラル、第3波のフェミニズムの要素がすべて詰まっている。

 単なる娯楽映画としてのみ見るのでは、非常にもったいない。

 

 たとえば、ここに出てくる女性たちは、そのふるまいは、男性である。

 そのマッチョさは、それだけで讃仰に価する。

 しかも、若い女性がマッチョなのではなく、年老いた女性がマッチョなのがいい。

 対する父親3名の影の薄さも、特筆もの。

 しかも、そうした父親たちが排除されることはない。

 寛容な映画だ。

 

 すべてのキャストが全員、包摂される点に、新しい思想を見る。

 それをあえて名指しすれば、SDGsだ。

 The Sustainable Development GOALS for the period 2015-2030にふさわしい。

 

 すべての人々が取り残されることのない、グローバルかつ持続可能な発展。

 だから、ニューヨークのスカイの古いホテル経営などは、蹴散らされている。

 そんなものは、この映画全体では、 一顧だにされず、一瞬の間に通り過ぎられる。

 実に爽快だ。

 

 ミュージカル映画は、ほぼすべてを見てきたつもりだが、こんなのは初めてだ。

 ミュージカル映画の新しい時代が来たと私は確信している。

 

 また、あらゆる続編の中でも、これが最高レベルのものと断言する。

 続編ならではの困難を、いとも簡単に、克服しているどころか、高みに到達した。

 それは単に脇役を大御所で固めたから到達できたわけではない。

 大きな器に大物を置いたから映えたという事実を決して忘れるべきでないだろう。

 

 ミュージカル映画なら何でもイエスという人はもちろんのこと、まだ見たことがないという人にもおすすめできる。

 舞台しか見ないというのももったいないことで、演出やキャメラもすばらしいので、関係者は必見だ。

 ABBAの音楽がすばらしいことは、いまさら贅言を要しないが、ABBAを知らない世代にも、この映画は届くだろう。

 女性はいうまでもないが、頭の固い男性諸君も、これで頭をほぐしてほしいもの。

 老若男女、この映画を楽しんでほしい。

 

 おっと、大事なことを言い忘れていた。

 この映画は、島の振興という意味でも、成功している。

 北海道という日本を代表する巨大な観光島は、今、危殆に瀕しているが、この映画が元気を与えてくれる。

 災難に遭っても、この映画のようにハッピーになってほしいと希う。

 

 筆舌に尽くしがたいが、ざっとこんなことを思いながら、DVDの発売を心待ちにしつつ、この映画のサウンドトラックCDを聞き、口ずさんでいる。

 いや、正直に白状しよう。

 男声の悲しい性で、口ずさむことなど許さようはずもなく、身の丈に合ったsup-p-per,troup-p-perと、3人のパパたちよろしく、重低音で合いの手を入れながらなんだけどね。

 

 もし無人島に持っていく映画を1本と訊かれたら、私は『MAMMA MIA! Here We Go Again』と答える。

 できれば無人島ではなく、カロカイリ島、否、エーゲ海に浮かぶスコペロス島がいいというのは贅沢か。

 

 "Feeling like a number one"

 

 今回は書評というより、オマージュになってしまった。 

 

 

  

マンマ・ミーア! [DVD]

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*[書評]【棋書】『新型雁木のすべて』

 

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*[書評]【棋書】新型雁木のすべて

 

 

稲葉陽『新型雁木のすべて』(2018年8月 マイナビ出版)を推薦する。

   

新型雁木のすべて (マイナビ将棋BOOKS)

新型雁木のすべて (マイナビ将棋BOOKS)

 

 

 

雁木の本は買いだ!

 

 将棋の戦法は、今、地殻変動を迎えている。

 むろん、その中心に雁木があることは、いうまでもない。

 

 プロは、コンピュータの影響を受けた。

 アマは、プロの影響を受けた。

 特に某増田という棋士の矢倉終焉説は強力だった。

 

 私自身、最近、矢倉を指してみた。

 ところが、完膚なきまでに潰されて、戦術に再考を迫られた。

 

 かくして純文学と言われた矢倉は滅び、ライトノベルの雁木全盛の世となった。

 そのような中、本書は必携の書と言わざるをえないだろう。

 

 まえがきにある。

 「雁木の最大の魅力は、(中略)ほぼ確実に組むことができることである。」

 相手の合意なしに組むことができるとは、なんと、むかつく戦法か。

 いや、反対にいえば、なんと、すばらしい戦法であることか!!!

 

 アマチュアは、特にそういう戦法を欲しているわけだから、渡りに舟。

 買うべし!!!

 

 

棋譜中心の本は買いだ!

 

 定跡の本には、3種類ある。

 棋譜をたくさん収録する本、棋譜を少し収録する本、棋譜をまったく収録しない本。

 

 蓼食う虫も好き好き。

 それぞれ好みがあるだろうが、私シュうぇッチマンは棋譜並べ党の総帥である。

 棋譜が多い棋譜を好む。

 

 ただ多いのではなく、解説が充実していることが好ましい。

 

 この本は、そういう意味でも買いだ。

 たしかに、定跡の解説ということでいえば、物足りない。

 しかし、まだ発展途上であるから、ある意味、仕方がない。

 それよりも、実戦の解説が充実していることのほうがありがたい。

 

 現役A級棋士棋譜をPピリ将メソッドで30回並べすれば、アマには十分。

 

 

駒落ち情報は買いだ!

 独断と偏見を続ける。

 駒落ちオタクの私は、駒落ち情報が1ページでもあれば、買う。

 

 この本は、コラムで四枚落ちと二枚落ちについても語っているのだ。

 

 コラムといえば、さらに決定打。

 日本酒について語っている。

 それのみならず、私の愛する「雁木」と「勝駒」に言及しているではないか!

 

 私はかつて稲葉先生の棋譜集を買いそびれてしまい、悔いている。

 この本を読み込むことにより、当時の失点を取り返したいと意気込んでいる。

 

 

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*[書評]【一般】『答え方が人生を変える』

 

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*[書評]【一般】答え方が人生を変える

 

 

ウィリアム・A・ヴァンス、神田房枝『答え方が人生を変える あらゆる成功を決めるのは「質問力」より「応答力」』(2017年5月 CCCメディアハウス)を推薦する。

  

答え方が人生を変える あらゆる成功を決めるのは「質問力」より「応答力」

答え方が人生を変える あらゆる成功を決めるのは「質問力」より「応答力」

 

 

 

リープこそが答え方の極意

 

 細田守監督の傑作アニメ映画『時をかける少女』に繰り返し出てくる言葉に「タイムリープ」がある。

 リープは、まさに「時をかける」の意だ。

 この「リープ」という語をキーワードにしたのが、本書である。

 

 質問と答えのどちらが重要か。

 二者択一には答えないのが主義の私も感心させられた。

 質問ではなく、答えだというのだ。

 

 なるほど、指摘されてみると、これまでの歴史は質問力を称揚する傾向があった。

 たしかに質問力は重要だと思う。

 しかし、だからといって、応答力をないがしろにしてよいはずはない。

 本書はリープする応答力を提唱する。

 

 これが、とってもいい。

 質問にただ答えればよいわけではない。

 付加価値をつけて答えることにより、質問がよい質問になるのだ。

 

 付加価値をつけるには、どうすればよいか。

 これ以上はネタバレになるので、詳しくは本書を読んでほしい。

 

 すべての方に読んでほしい名著だが、特に面接を前にした方におすすめする。

 多弁を弁護してくれるので、「おしゃべりな人」とレッテル貼りにも屈しなくなれる。

 日本人は簡潔に答えることを暗黙のうちに求められるが、無視しよう。

 

 本書が、あなたのコミュニケーションの根本から革命を起こすこと請け合いだ。

 

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*[書評]【一般】『親の介護には親のお金を使おう!』

 

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*[書評]【一般】親の介護には親のお金を使おう!

 

 

 太田差惠子『親の介護には親のお金を使おう!ーあなたを救う7つの新ルールー』(2018年6月 集英社 本体1,400円+税)を推薦する。

 

親の介護には親のお金を使おう! ──あなたを救う7つの新ルール──

親の介護には親のお金を使おう! ──あなたを救う7つの新ルール──

 

  

 

 

介護はマネジメント!

 

 介護問題は、誰の身の上にも訪れる。しかも、1度でなく、2度以上。

 1度は家族の介護であり、もう1度は介護される自身の問題として。

 

 それにもかかわらず、私たちはあまりにも無防備だ。

 あるとき、不意に、この問題がやってくる。

 そして、そのときに大慌てをするが、すでに手遅れ。

 「知っておけばよかったことを後で知る」パターンが繰り返され、うんざり。

 

 かくいう私も、その1人。

 昨日、「その時」がやってきて、大揺れに揺れた。

 

 急きょ仕事を半日休みにして、図書館に籠もった。

 月曜日だが、開いている図書館があったのには救われた。

 一通り理論武装、下ごしらえを済ませた上で、書店へ。

 そこで買ってきたのが、本書だった。

 スターバックスで、1時間かけて集中的に読み込む。

 

 本書が秀逸なのは、タイトル。

 他のどの本よりも、人目を引く。

 

 介護問題の9割は、「きれいごと」との戦い。

 「介護離職」という言葉もあるように、人生を揺るがす一大事。

 「きれいごと」で済むはずがないのに、周りは全員「きれいごと」だ。

 ここでいう周りに、家族も含まれるところが、非常に厄介である。  

 

 一言で言い切ろう。

 介護は他力と自力のバランスがすべてだ、と。

 

 他力か、自力か。

 この二者択一は選べない。

 しかし、強いて選ぶなら「他力」となる。

 なぜなら、共倒れを回避するために、自力は温存すべきだからだ。

 

 「他力本願」となると、知識が必要になる。

 そんなときに助けになるのが、本書である。

 

 『親の介護には親のお金を使おう!』

 繰り返すが、タイトルがいい。

 タイトルだけを消費しても、元は取れると言いたいくらい。

 

 もちろん、いいのはタイトルだけでない。

 感心したのは、親のお金に関する情報を「聞き出す権利はない」ということ。

 

 いや、考えてみれば、当たり前のことだ。

 けれども、せっぱ詰まると、そんなことも言っていられなくなる。

 いかに、日ごろの関係を良好にしておくか。

 そして、早めに確認できるかということが大事だということがわかる。

 人間関係をこじらせずに、進めることの大事さをさりげなく教えてくれる。

 

 もっと具体的に教わったことは、遠距離介護の交通費問題。

 

《子世代の声を聞いていると、男性は「老いた親から交通費をもらえない」という人が圧倒的。一方、女性は「ありがとう!」と、スグに受け取る傾向があります。》(44頁)

 

 男性読者である私は、これに目からうろこが落ちた。

 

 男性がすべてこうかどうかは、わからない。

 しかし、私の場合、自立が身上でここまで来たので、プライドが人一倍高い。

 これまでも旅費は、自腹で払ってきた。

 

 しかし、思い出してみよう。

 母はいつも実家からのお金を「ありがとう!」とスグに受け取っていた。

 妻も同様だ。  

 

 もし私が受け取らなければ、妻からの恨みを買う。

 これは避けておかなければいけない。

 

 ということで、介護では、旅費に限らず、最初からお金をもらっておいたほうがいい。

 後からもらうようになると、「変わった」「昔は優しかったのに」と言われかねない。

 また、後になればなるほど、親のお金を引き落とすこと自体が難しくなる。

 代理で引き落とせないので、立て替えていくことになるという事態は、恐ろしい。

 

 本書でも「お金のことは、最初が肝心です。」と書いてある。

 

《「いつも、ありがとう」とお礼でもいわれようものなら、「もう出したくない」とはいい出しにくくなります。「この子が、出すのが当然」という家族間でのルールになったら大変です。実際、介護が始まった当初、金銭負担をしていたある男性は、1年が経過し、「これ以上は、負担できない」といったところ、親からは「おまえは、冷たくなった」と泣かれたそうです。》(39頁)

 

 ちなみに、飛行機代は介護割引きがあるという指摘もありがたい。

 親のお金だから贅沢に使えというわけにはいかない。

 本書がすばらしいのは、親のお金だからといって、無責任に浪費するようには仕向けていないこと。

 

 上記はごく一部をつまみ出したに過ぎないが、目次を見れば、本書のよさがわかるだろう。

 

ルール1 お金を払いすぎない!

ルール2 介護には親本人のお金を使う

ルール3 「いくらかけられるか」という発想を大切に

ルール4 同時にかかる医療費のあれこれを知る

ルール5 介護制度の基礎をおさえる!

ルール6 施設は「安い」「高い」だけで決めない

ルール7 トラブルに注意して、自分の暮らしを大切にする

 

 それぞれのルールの冒頭には、了春刀のイントロダクションコミックが付いているのも親しみやすくしているだろう。

 

 介護の問題は、人それぞれだ。

 したがって、1冊だけで事足りるなどというつもりはない。

 実際、私自身は通常の老親介護とは異なる複雑な問題に直面しているため、本書だけでは太刀打ちできないのである。

 

 しかし、本書がなければ、基本的な方針を決定することができなかった。

 その意味で、本書に感謝しており、こうして紹介に及んでいる。

 基本的な方針とは、まず「お金」という優先順位に尽きる。

 

 寿命は、誰にもわからない。

 とするならば、持久戦を覚悟しなければならぬ。

 そうであるのなら、戦略は1つ。

 共倒れを回避すること。

 無駄な出費を抑え、とにかく自分がしっかりすること。

 

 世に多く出回っているのが、「介護離職するな」というディスコース

 しかし、本書のタイトルの方が、私にははるかにしっくり来た。

 自分の生活リズムをなるべく崩さすに挑むという哲学の構築が最優先だから。

 そして、これは介護の問題にとどまらない重要な哲学だと思う。

 

 優しすぎる子世代と、優しすぎる子を持つ親世代にオススメしたい。

 

 序盤から損するな。

 まずは自陣の整備。

 将棋から教わった精神で、介護にも当たってみようと思う。

 

 

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*[書評]【一般】『ネイティブ発音トレーニング』

 

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「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

 

 

*[書評]【一般】ネイティブ発音トレーニング

 

 ケン・ケンセイ著 ボビー・トロカ監修『英語力ゼロの私がハリウッド俳優になれたネイティブ発音トレーニング〈CD付き〉』(2014年3月 日本実業出版社 1,500円税別)を推薦する。

 

英語力ゼロの私がハリウッド俳優になれたネイティブ発音トレー

英語力ゼロの私がハリウッド俳優になれたネイティブ発音トレー

 

 

 

ネイティブ発音トレーニング

 

 私の意見は少数意見だと思う。

 「発音はどうでもよい」派と「発音は大事だ」派の、中間にたたずんでいるから。

 

 英語の発音問題。

 いつまでも決着がつかないのは、英語を語学だと思っているからだろう。

 

 私はそもそも英語を語学だと考えていない。

 私は英語であれ日本語であれ、演劇だと考えているのだ。

 つまり、音声学と演劇学の両方を学ばないやつの意見には耳を貸さない。

 そんなやつはいないので、私の意見は少数意見たらざるをえない。

 

 「そんなやつはいない?」

 「ケン・ケンセイがいた!」

 

 ケン・ケンセイは、『ブラック・レイン』や『硫黄島からの手紙』などのハリウッド映画に出演した男。

 そんな彼の練習法を明かしたのが本書である。

 

 この本が画期的なのは、第1に、「発音は悪くても通じればいい」的な逃げ道が封じられている点。

 そんなことを言っていたら、オーディションで落とされるから。

 

 日本の英語のテストでは、そんな場面はまずない。

 それではなぜ、映画では理想的な発音が求められるのか?

 

 残念ながら、本書にその答えは書いてない。

 その点は、やはり実用書と言える。

 

 なので、代わりに答えておくと、発音が悪いと通じないから、ということだろうと思う。

 それに、ユニバーサルデザインが重視されるのだと推測している。

 

 どういうことかというと、日本人の場合、発音にかぎらず、わかりにくい部分があっても、なんとなく空気で察してねという場面が多々ある。

 だから、それでもコミュニケーションが図れる。

 これをハイコンテクスト文化という。

 

 しかし、ローコンテクスト文化では、そういうわけにはいかない。

 発音にかぎらず、すべてにおいて完璧であろうとしなければ、置いていかれる。

 本書にも書いてあるが、演技だけで評価されるということがないのも、その1つ。

 

 それに、舞台でセリフを言う経験をしたことがあれば、知っているだろう。

 ふつうにしゃべるだけでは、お客さんに届かないということを。

 

 外国人のスピーチがすばらしいのは、プロの意識が高いから。

 日本人のスピーチのほとんどがいけていないのは、プロの意識が低いから。

 生まれたままでいいと思っているし、聞き手も寛容だ。

 

 だから、私は発音適当派には与しない。

 とはいえ、発音厳格派でもない。

 「通じればいい」と考えているから。

 

 ただし、「通じれば」の部分のレベル設定が適当ではない。

 簡単に通じないことを骨身にしみて知っているから。

 

 昔、「コーヒー」を頼んだら「コーラ」だったことがある。

 気づかずに、ミルクを入れてしまい、顔をしかめた。

 最初の第一声で勝負が決まるという厳しさを思い知らされた。

 (ちなみに、これは英語の話ではなく、日本語の話なのだが。)

 

《その3日後、エージェントから「役がとれた」という連絡がありました。

 まるで狐につままれたような感じでしたが、おそらく失敗や試行錯誤を重ねる中で、日本人が間違えやすかったり、苦手だったりする発音が徐々に克服されていったのでしょう。》(p.12)

 

 いつもなら2~3行読んだだけで、"Thank you very much for coming."と追い返されていた著者が、『ブラックレイン』のオーディションに合格した理由を、上記のように回想しています。

 そして、そのノウハウを本書によって、わかりやすく開陳してくれているのは、本当に目からうろこが落ちるという感じ。

 これまでの英語の本が、目的がはっきりしなかったのに対し、本書は何のために発音が必要かという目的が明確だ。

 そう、ハリウッド映画に出演するため、である。

 

 もちろん、私たちはハリウッド映画に出演しないし、出演する気もないだろう。

 しかし、私は考える。

 英語を話すということは、映画に出演するような覚悟が要るのではないか、と。

 

 本書には書かれていないが、英語は第1にマインドだ。

 第2に声の大きさ、第3が発音と続く。

 これらはすべて演劇に求められる技量なのだ。

 だから、語学と演劇はセットで学ぶものだという持説ができあがった。

 

 本書の目次は、次のとおり。

 

PART1 発音トレーニングを始める前に

PART2 母音のトレーニング

PART3 子音のトレーニング

 

 私は思う。

 日本の英語教育は、こういうシンプルな音声学から始めるべきだ、と。

 

 一例を挙げる。

 

 「ディス・イズ・ア・ペン」など、くそ食らえ。

 激しい言い方をするなら、これが私の意見。

 

  disu izu a pen

 

 ローマ字にすると、こんな具合になる。

 何が問題かというと、thiがdiになっているという子音の問題。

 そして、sがsuやzuになっているという母音過多の問題がある。

 

 本書のトレーニングだと、特に後者の劇的な改善が期待できるのがよい。

 

 sas sis sus ses sos

 

 日本語のアイウエオを子音でサンドイッチする子音トレーニング。

 これがとにかくすばらしい!

 母音も英語だと複雑だが、母音は日本語のままだから、安心感がある。

 そして、子音だけで発音することがとにかく大事。

 これなら母音付きの子音と、母音なしの子音の差を体感できるのでグッド。

 じゃなかった、グd。

  

  

 

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*[書評]【一般】『合格習慣55』は理想本として使え (後)

 

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「3姉妹ピリ駒ちゃん」(制作:びわのたねさん)

 

 

 

 

*[書評]【一般】合格習慣55

 

 山口真由『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える合格習慣55』(2018年6月 株式会社学研プラス 1,300円税別)を読了した。

  

 

誰でもすぐに実践できることとそうでないこと

 

  習慣には2種類ある。1つは幼いころに身につけておかなければならない習慣、もう1つは大人になってからでも間に合う習慣である。

 本書はもっぱら前者に焦点を絞って55の習慣を紹介する本である。そのことを十分に理解いただきたいし、また大いに強調した上で、それでも後者と連動する可能性はないのかどうか。この辺りを少しく検証してみようと思う。

 

 

本書の提案する「勉強のリズム」とは

 たとえば「CHAPTER2 習慣・環境「受験に勝つ」ルーティン15を身につける」の中に、「小学校低学年までに身につけたい「勉強のリズム」」が紹介されている。ちなみに、副題には「決まった時間に決めたことをやることで勉強習慣がつく」とある。

 本書は重要なところは太字になっていて赤線が引いてあるので、以下、その部分を中心に、つまりエッセンスを引用してみよう。

 

 「食事、睡眠、学習などの時間割をルーティンとして叩き込むことが勉強習慣につながり、受験で生きてくる」(62頁)

 

 「受験に必要なルーティンは、小学生のときしか身につきません。」(63頁)

 

 「毎日同じルーティンが身についてくると、30分やると決めたことをやらないと違和感を覚えます。読書でも勉強でも決めたことを決まった時間にやりたくなるわけです。これが勉強の習慣づけなのだと思います。」(64頁)

 

 「私も妹も、テスト前に慌てて一夜漬けすることもなく、淡々と勉強を積み重ねる習性が身につきました。」(64頁)

 

 「起床、3度の食事、就寝の時間を、日々変えないことでアンカーを打ち、空き時間を勉強にあてていくのです。すると、毎日の勉強にリズムが生まれます。」(65頁)

 

  「本番が近くなったときも、ルーティンをこなすほうが頭はよく回ります。あれこれ段取りを考える手間が省け、その分、頭の使い方に余裕が生まれるのです。」(66頁)

 

 全文を引用するわけにはいかないので、このような引用になるわけだが、これだけでも、著者の言わんとすることは伝わってくる。しかも、いちいちごもっともであり、そのすべてに私は同意する。

 

小学生のときにしか?

 ただし、1点だけ違和感を覚えるところがある。あえて違和感を見出そうとするといったほうが正確なのだが、それが2番目の引用だ。「小学生のときにしか身につきません」というのは、本当だろうか?

 「決まった時間に決めたことをやる」というだけのことが、どうして小学生のとき、しかも低学年のときまででなければ身につかないのか? その科学的な根拠はいったいどこにあるのか?

 たしかに、どのような習慣でも幼いころ、なるべく早くに身につけたほうがいいに決まってはいるだろう。しかし、だからといって、「しか」という副助詞を付与するのは行き過ぎにも思える。

 なるほど、現実問題、経験則として、多くの大人、というより大多数の大人が、大人になってからこの習慣を獲得する確率は、きわめて低いことが予想される。しかし、だからといって、その可能性に蓋をしていいとも思えない。

 むしろ大人こそ、この部分にカチンと来て、身を持って反証する必要があるのではないか?

 つまり、毎日決まった時間に決まったことをするという習慣を可及的速やかに身につける必要があると私は考える。たとえば、今が二十歳ならば今すぐに、今がアラサーでも今すぐに、今がアラフォーならなおさら今すぐに身につける必要があるだろう。今がアラフィフ・アラ還なら? このブログを読み終えたらただちに身につけよう!

 ずっと継続することがきついなら、ある一定の期間だけでも、この習慣を実践してみよう。たとえば、ある資格試験の勉強をするとする。その期間が仮に3か月だとしたら、その3か月の間だけでも、起床時間と食事時間と就寝時間を一定にしてみるのだ。

 大人は子ども以上に言い訳をするから、「そんなのできっこない」「仕事が忙しい」「子育てが大変だ」などと逃げの態勢を取り始める。しかし、それでは図らずも、本書の説を裏づけることになってしまう。

 もし、あなたが起床時間と食事時間と就寝時間を一定にできないのだとしたら、それはあなたの一日のデザイン能力の欠如を示す。どうしてかというと、大人は子どもに比べて、それができるはずだからだ。大人には自由があるし、権力がある。それに対して、本書にも書いてあるとおり、子どもは大人に従わなければならない。

 私は、凡百の意見と違って、大人のほうが、決まった時間に決まったことをできる環境が整っていると考えている。それは私自身がそういう経験をしてきたからだ。

 

 

一般ピープルの経験

 

  《我が家はそのルーティンが非常に大切にされていました。父はほぼ毎日、同じ時

 刻に帰ってきて、同じ時間に家族全員で夕食をとり、みんなでおしゃべりをして、夕

 食後は歯を磨く。その後は自分の部屋で勉強や読者をし、入浴、就寝。日々その繰り

 返しです。》(63頁)

 

 この辺りは、さすがに微苦笑を禁じ得ない。

 他人の家庭は、簡単にはのぞき見ることはできないので、ある程度はやむを得ないだろううが、こんなことができる家庭は、いったい、幾家庭あるのだろう? ひょっとしたら、サザエさん一家ぐらいなのではあるまいか?

 私自身、受験勉強するとき、食事の時間を一定にしてほしいと何十回、要望したか知れない。しかし、私の母がその要望を受けるだろうか。いや、頑として受けない。これが日本の、いや世界のマジョリティなのである。もちろん、私の父は、酒は一滴も飲めない人であったにもかかわらず、いつも残業地獄で、深夜の帰宅。この時点で、合格習慣を断念しなければならなかった。

 ところが、大人になれば、こっちのもの。私は起床時間は平日だろうが休日だろうが、いつも一定。食事時間も、帰宅時間も、就寝時間も、いつも一定に保っている。大人になってからむしろ、私はこの黄金習慣を手に入れることに成功した。

 ちなみに、私は早く帰れるときは、書店か喫茶店で勉強してから帰途につく。いつも帰宅する時間が一定なので、家人も楽である。こういうところは習慣、システムの強みだと思う。大好きなお酒も、基本的には一次会で帰るようにしている。

 

まとめ

 ともあれ、大人になってからでも身につけられる習慣はあると私は考えているから、本書には反発を覚えるところが少なくない。しかし、理想としては御説ごもっともなので、理想本として使えというふうに言っておく。

 要するに、この本は『プレジデントFamily』などを愛読している層へ働きかける本なのだろうが、ここでの書評があえて大人向けにズラしてみせて、おわかりいただけるとおり、こういう子ども向けの習慣を大人が得ることのメリットはデカい。難癖に近い批判も下したものの、あらゆる層に読んでいただきたいと私は思っている。

 もちろん、将棋が強くなりたい方にも、おすすめ。将棋の上達は受験勉強の比でないが、基本的な習慣が確立していないと、将棋の上達は無理筋というものだから。

 

 

【目次】

はじめに

「自分から東大に行く子」はいかにして育つのか? 対談からのヒント

CHAPTER1 合格の基礎

「自分から勉強する子」になる10の方法

CHAPTER2 習慣・環境

「受験に勝つ」ルーティン15を身につける

CHAPTER3 伸びしろ

地頭をよくする10の方法

CHAPTER4 学力アップ

成績が上がる! 応用力がつく12のコツ

CHAPTER5 教科別

大学受験まで通用する教科別おすすめ勉強法

CHAPTER6 世界基準

ハーバードで体感!

グローバルに活躍する人の共通点

COLUMN 親子でやりたい!おすすめ能力アップ遊び

COLUMN 考えてみましょう!塾の活用法

COLUMN こんなときはどうする?一問一答

COLUMN ハーバードの同級生に聞いた!子ども時代の勉強法

おわりに

 

 

 

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